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【覚書】無菌調剤を実施しました

在宅医療の話

昨年は、週1回程度、半年ほどの期間ですが、無菌調剤を実施しました。また行う機会もあると思うので、簡単にメモを残しておこうと思います。いつものようにダラダラ書いています。

事前の準備

当店はとても狭いので、開局のとき無菌調剤室を備えることができませんでした。クリーンベンチを置くだけでも調剤はできるのですが、うちは国道沿いの店ですし、コロナのせいで換気のために窓全開にしてますので、排気ガスも入ってきます。クリーンベンチだけだと不安だなぁと思っていたので、すこし遠いのですが、JR広島駅のうらにある二葉の里薬局さんに、無菌室をかりに行くことにしました(無菌調剤室の共同利用)。共同利用に係る契約書を交わし、無菌製剤処理加算の届け出をしたのが、令和2年7月。その後はまったく利用する機会がありませんでしたが、令和4年、やっと利用する機会がめぐってきました。「無菌調剤が必要な患者さんがお家に帰りたいんですけど対応できますか?」これこれ、このために準備をしておいたんですよ~。

無菌調剤の経験

無菌調剤の経験は、かつて勤務していた薬局で週1回程度を1年ほど。それも十数年前のこと。その薬局を離れて以降は無菌室のある薬局で働く機会はありませんでした。だからかなり久しぶりだったのですが、意外と体が覚えていました。これは経験がなければできなかったことと思いますので、かつての職場にとても感謝しています。練習のために物品をいくつか開封して、シリンジや針の取り扱いや消毒の手順をおさらいしました。じつは無菌室で仕事をしたあとは片頭痛がくる体質で(気圧の関係ですかね…)ちょっと心配ではありましたが、こんかいは疲れはあるものの発作のような頭痛はなく、無事に続けられました。

調製内容

今回は乳児の中心静脈栄養でした。患者さんの病態によって使用薬剤の量も違えば、成長にともない成分の比率も変わってくるし、なによりすべての量が少ないので、とても細かくて時間がかかります。10種類以上の薬剤を混ぜ合わせます。何をどの手順で混ぜると効率が良いか、どのシリンジを使うか、混注口は足りるか、針刺しが少なくより衛生的であるか、使用物品を少なくしてコストを減らす、これらをよく考えて作業の手順を書き出して準備をしました。

メモ

その1:計画していないことはやらない

作業手順は書き出して作業始めるんですけど、途中で「こうやったらいいんじゃね?」「もっと手早くできるんじゃね?」ってひらめいたりするんですね(いらんことを…)。まぁ、ヒラメキの9割はダメなので、「いいこと思いついた!」と思ってもとにかく計画通りにやることが大切。改善するにしても次回からでいい。

その2:忘れ物をしない

遠いから、忘れ物するとえらいことになります。初めごろは作業自体よりも、忘れ物がないかどうかについてとても緊張していました。借りれるものは借りたらいいんですけど、処方薬剤や備品にない物品は自分で用意して持ち込むので、忘れたら…え?取りに帰る?片道40分?というわけです。忘れ物をしないために分かりやすい荷物セットを考えて、使用したものを補充する習慣をつけました。

その3:予備を持っていく

忘れ物注意と同様ですが、使用する物品や薬剤はすこしずつ予備を持っておいて、ウッカリこぼしたり汚したりした時に替えがきくようにしておくこと。自薬局でするならすぐ替えを用意できますが、出張するので余裕をもって。手袋に穴があいたり、シリンジから針が外れたりしたらすぐ交換します。薬剤も、2日分ずつ予備を持ちました。考え事してると薬液ちゅちゅ~っとたくさん流れ出ちゃったりするんですよ…(そしてやり直し)。

その4:薬剤師会のクリーンベンチは広くて最高でした

薬剤師会のクリーンベンチは、幅2m以上、両手をひろげて余るくらいの広さで、水平気流でガラス扉がなく、とっても作業がしやすくて最高でした。1週間分の薬剤はかなりの数量になりますが、ぜんぶクリーンベンチに入れてから作業が始められました。うちの薬局には絶対に設置できない、いい設備なんですよね~。安く借りられるのでとても助かります。

その5:ごみの廃棄(医療廃棄物の捨て方)

廃液と針は二葉の里薬局で処分をお願いできましたが、それ以外はすべてのごみを持ち帰ります。薬液の付着したものは医療廃棄物として処分するため、可燃物(薬液の付着したプラスチック製品・着用や掃除に使ったリネン類)と、ガラス(アンプル・バイアル類)に分けます。慣れてくると、無菌室での作業中に発生したごみをそのつど上手に分けると、持って帰った時は分別されてる状態でほぼ手間いらず、とてもラクでした。帰宅後はとても疲れていますのでなるべく手間を減らしたい。

持って帰っても、廿日市市は医療廃棄物の処分場がないため、業者さんへ依頼して広島の処分場へ持ち込み処理してもらいます。廃棄物にマニフェスト(※)を添えて業者さんにお願いし、適切に処理されたのちマニフェストが返送されてきます。これを5年間保管します。(処方箋の保管期間より長い!)(※マニフェスト:産業廃棄物の回収から運搬、処理までの確認伝票のこと。)廃棄コストはそんなに高くないですが、それでも数アンプル数バイアルで捨てるのはもったいないので、ある程度ためてから廃棄します。ビタミンやアミノ酸は放置すると匂うので、バッグやシリンジの薬液はできるだけ抜いて小さくして袋詰めにします。アンプルやバイアルはケガ防止のためにガラス瓶に保管。連結管はプラスチック針を切り取って針として処分し、チューブはたまった液を捨てる。ブドウ糖は1滴でもこぼすとベタベタするので、ていねいに取り扱うようになりました。今更ながら、病院時代の雑なごみすてを反省しています…。

そして、無菌室の使用料金、もうちょっと高くてもいいので、医療廃棄物の処分までお願いできると助かるな~と思いました。ごみを廿日市へ持って帰ったり、ふたたび広島の処分場へ送り出したりするのがちょっとむなしい。

※家庭での廃棄方法(廿日市)※
患者さんが家庭で使用した物品について。針(金属でもプラでも)は感染性医療廃棄物なので切り取ってペットボトル等のかたい入れ物に入れて病院(もしくは薬局)へ返し、チューブやバッグ部分は薬液をすてて燃やせるゴミで廃棄。できれば軽く洗っておくと良い、アミノ酸やビタミンはかなりにおいが強い。

その6:遮光袋について

調製後に袋に入れて真空パックしますが、遮光袋にするとめちゃめちゃ高い。うっかり薬剤師会のを使わせてもらったら遮光袋1枚数百円(×7枚)で、その日に使った何よりもコストがかかりました。昔は遮光袋、湯水のように使ってたな…ごめんなさい…。よくよく考えると、保管しているあいだは冷蔵庫内もクーラーボックス内も遮光なわけで、当日室温に戻して点滴つないで使用する間だけ袋をかぶっていればいいのです。ちなみに薬剤師会の真空パック器はこれもすごくいいやつでした、ありがたく使わせていただきました。

その7:シリンジの選び方(少量の場合)

0.5mL以下のはかりとりを、はじめはロードーズ50単位を使用していたが(0.5mLまで、0.01mL刻み)、処方変更で0.6mLが発生したのでツベルクリン用テルモシリンジ1mLを購入(1mLまで、0.01mL刻み)。ロードーズは上手にしないと針がすぐ曲がる。テルモシリンジは細かい目盛りが読みやすく使いやすかったけど針を付けなければいけなくて、針に残る薬剤がちょっと多く感じる。

その8:混注口を封じる方法

混注口に封をするために、以前は専用のキャップみたいなのを使っていた記憶(買っていたのかな…記憶があいまい)。今回は消毒してパラフィルムを巻く方法を教えてもらいました。そうなんですよ調製後は混注口を触ることはないので、付け外しできるいいキャップを付ける必要もないんですよね…!

その9:ラベルシール

調製済み輸液バッグにラベルを貼るために、どうやってシールを作るか試行錯誤してるうちに処方が入り、間に合わなくて、初回はふつうの紙に印刷したもの(氏名用法使用薬剤)をテープで貼るというあまりかっこ良くない感じになってしまったけれど、それのほうが捨てる時に個人情報を剥がしやすく、最終的には良かったのではないかと思っています。

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