お薬を飲むときに、割ったりかみ砕いたりしてはいけないものがあります、ご存知でしょうか。理由はいろいろあるのですが、いちばん大切なのは「徐放性製剤」である場合。これは有効成分がゆっくり放出されるくふうがなされたお薬で、服用回数を少なくしたり、血中濃度を安定させて副作用を回避することができる、優れた技術なんですよ。せっかくの徐放性製剤を割ったりかみ砕いて服用すると、効きすぎなどによる悪影響が起こる可能性がありとても心配です。
ついうっかり粉砕してしまった事故の例はこちらで確認できます。
公益財団法人日本医療機能評価機構(2020年1月No158)
http://www.med-safe.jp/pdf/med-safe_158.pdf
(こういう薬たちで「粉砕して」「0.5錠に減らして」など指示を受けると、薬剤師は手が震えます…もちろん、疑義照会です。)
まずは、徐放性製剤は「有効成分がゆっくり放出されるよう調節された製剤であり、粉砕してはいけない」ことを知っていただいて。そして、処方されていた錠剤を何らかの理由で初めて粉砕する際は、「粉砕しても良いか」を薬剤師に問い合わせてください。粉砕できない場合は、代わりの薬剤を提案いたします。
ほんのひと手間で危機を回避できますので、よろしくお願いいたします。
★おまけ
その他の理由で、「粉砕しないほうがいい薬」も存在します。
とっても苦い薬やシビレる薬が、上手にコーティングされている製剤。
有効成分が劣化しやすく、コーティングや包装されることで品質を保てる薬。
服用する本人以外のひとが触れると有害である薬。
世の中いろんなお薬があるんだ!
★もうひとつおまけ
むかし、アダラートCR錠10mgの半錠をどうしても処方するんだ!と言われてうんざりしながら調べたとき、インタビューフォームを確認して、意外と半割いけるんだな…と思ったりしました(40mg錠の情報です)。まぁそこまでする意味ないじゃろとは今でも思いますが、カプセル剤が販売中止になったこともあり、今後はちらほら見る処方かもしれないですね。