女性の脱毛症(FPHL;female pattern hair loss)の治療に利用できる選択肢の有効性と安全性を判断するために行われたシステマティックレビュー、コクラン。
P)FPHLあるいはAGAと診断された女性、ほとんど18~69歳(平均40.5歳)
E)薬剤や機器による介入(ミノキシジル、フィナステリド、酢酸シプロテロン、フルタミド、レーザー、ビマトプロスト、など)
C)プラセボ
O)有意な発毛を自己評価した割合、QoL、有害作用
副次評価;医師がみとめた有意な発毛、ベースラインからの総毛髪数の変化、ベースラインからの脱毛、見た目と満足度、髪質の変化
女性の脱毛症の治療に関して行われたRCTをあつめた。含まれた研究の多くはバイアスのリスクが不明から高リスクだった。毛髪の再生を評価するためのスケールがあいまいで不適切だった。
ミノキシジルはプラセボよりも効果的であることがわかった。ミノキシジル (2%) とミノキシジル (5%) を比較すると、同様の効果があり、同様の副作用があった。低濃度よりも高濃度の方が利点があることを示した研究はなかった。
フィナステリドはプラセボよりも効果的ではないことが示された。レーザーコームの有効性は認められなかったが、ベースラインからみた総毛髪量は増加していた。
※海外のこれらの試験では2%1日2回もしくは5%1日1回で行われている(日本の女性用はミノキシジル1%1日2回)
※評価方法のばらつき
毛髪再生の評価の方法が一般化されてなくて、試験ごとにマイルールみたいなことやっていたら確かに、評価は難しい。面積あたりの本数などの客観的な評価方法が良い気もするけど、本人が「改善した」と感じるかどうかがもっとも大切だし、難しいところではあるかも。自己申告による効果の有り無しと、医師が客観的にみた増加ありなしと、純粋に毛髪数をしらべた増加のあるなし。レーザーコーム使って毛髪数は増えてるのに結果的に効果的ではないという判定なのもふしぎ。毛髪数が変わらなくても髪質が変わるだけで改善したと感じるかもしれないし、なんなら上手なスタイリングなんかも良い介入になるのかもしれない。
※日本でよく見る脱毛のお薬はどうなのか?
この研究でフロジン液とかセファランチンとかまったく挙がってこないな…と思いそれぞれを検索してみたら、まったくヒトでの臨床試験がない感じだった。
※DynaMedを参照、発生率・有病率
米国では女性型脱毛症(FPHL)の女性が 2,100 万人を超えると推定されている。
30歳以下の女性で12%
60~69歳の女性で30%~40%
30歳未満の白人女性の 3%-6%
70歳以上の白人女性の29%~42%
韓国人女性の24.7% > 70歳
台湾女性の11.8%
など。まったくもってめずらしくない疾患なのでもっと治療が確立されてほしい。
「疾患」と書いたあとで思ったけど、疾患だと思われてないふしがありそうだなぁ。