※感染症法上の位置づけが5類感染症に変更されるにともない、記述を変更しました
当店でも抗原検査キットの販売を開始して1年以上がたちました。購入される方はだいたい、家族の誰かが感染したり、飲み会した友人から陽性報告を受けたり、職場で陽性者が出たりして、慌てて薬局に買いに来られます。ですが「無症状の人が」「周囲の方の陽性報告を受けて」「すぐに」検査をすることは、じつは、あまり良いタイミングではない可能性があります。
抗原検査のメリットは、病院に行かなくても簡単に自分で検査ができ、すぐに結果を確認できることです。しかし、あまり精度の良い検査ではありません。発症直後に検査をしても「偽陰性(-)」となりやすい(後述)。無症状で検査をするとほとんどの方が陰性(-)になると思われます。しかし、その一部は発症直前の感染者であり、つまり陰性(-)でも安心はできません。
検査キットをどんな時に使用するか考えて必要な数を用意しておきましょう。自宅療養に必要な食料や衛生用品、市販の解熱剤やのど飴などをローリングストックしておくことも大切です。
ひとり2キットを目安に、自宅に備えておきましょう
抗原検査ひとり2キットをおすすめする理由は、以下のとおりです。
発症してすぐに検査をすると「偽陰性(-)」になりやすい
抗原検査は「今からだにいるウイルス量で勝負が決まる」検査です。ウイルス量がまだ少ない発症前や発症直後は、検査をするのに適したタイミングとは言えません。PCRは少ないウイルス量でも増幅させて検査するのでけっこう陽性(+)になりますが、抗原検査では陽性(+)が出にくいのです。抗原検査で陰性(-)になったからといって、症状があるならば全く安心できません。発症から少なくとも1日以上が経過してから検査をするのが望ましいです。
でも早く結果を知りたいし、やっぱりすぐに検査をしたい!
抗原検査のメリットは、簡単なので自分でできること、短時間ですぐに結果が分かることです。なるべく早いタイミングで陽性(+)を検出し、家庭内で隔離を行なったり職場の仲間に注意を促すことは、とても有意義なことです。でも早すぎる検査は偽陰性(-)を出してしまう。ではどうするか?
それならば「まずは症状に気づいたときに検査をする」その結果が陰性(-)だった場合は、1日以上が過ぎてから「もう一度、検査をする」。
1回目の検査で陽性(+)ならば、すぐに隔離に踏み切れます。また、1回目の検査で陰性(-)でも、ちゃんと疑って2回目の検査で陽性(+)になったなら、改めて周囲に伝えて注意喚起が可能です。
早く検査結果を知る必要がない場合は、発症後1日以上がたってから検査をしましょう
いろんなケースがあると思いますが、検査を急がなくてもよい場合は、発症後1日以上が経過してから検査をするとよいでしょう。すぐに隔離が必要でない場合(一人暮らし等)、自宅でゆっくり療養できそうな場合(重症化のリスクがない等)は、遅めの検査をおすすめしています。
陽性者の自宅療養期間が終わった時、検査は必要?
PCR検査は不要です。感染後しばらくは、体調が回復して感染性がない状態でも検査結果が陽性(+)になりやすいため、推奨されません。PCR検査を受けないでください。
抗原検査も原則不要ですが、療養期間の5日を過ぎたからといって急に感染性がなくなるわけではありません、発症から10日を過ぎるまではマスクの着用が推奨されています。
※参考サイト※感染症法上の位置づけ変更後の療養について
検査をおこなう前に「この検査の結果が出たら次はどうするか?」を考えましょう。
もっとも大切なことは、検査の結果を確認したらどうするのか?を、検査前に考えておくことです。何かを決断するための検査であることが重要です。陽性(+)でも陰性(-)でもその後の行動が変わらないなら、その検査は必要ないと思われます。
- 陽性(+)だったら部屋を分けて隔離しよう、陰性(-)だったら隔離はしないけど念のため食事は別々にとろう
- 陽性(+)だったら病院を受診しよう、陰性(-)だったら自宅でゆっくり療養しよう
- 陽性(+)だったら仕事を休もう、陰性(-)だったら出勤の可否を職場に相談しよう
- 陽性(+)だったら会食した人に連絡しよう、陰性(-)だったら翌日もう一度検査しよう
- 幼児が陽性(+)だったら陽性(+)のお父さんがお世話しよう、陰性(-)だったら陰性(-)のお母さんがお世話しよう
本当にたくさんのケースがあります。それぞれのご家庭で、家族の誰かが感染した時にどうするか、しっかりシミュレーションしておきましょう。必ずしも家族全員分が必要とは限らないと思います。必要最低限のキットをご自宅に備えておくと安心です。
【参考文献・サイト】