抗原検査の精度が悪いっていうけど、どんな感じ?
受検者はスイスの大学病院にCOVID-19検査を受けにきたひとたちで、(a)SARS-CoV-2感染の疑いあり(b)18歳以上(c)インフォームドコンセントに署名、の条件を満たすものを連続して試験に登録した(2021年1月~3月、n = 1465)。救急医療が必要なひとは除外された。
【疾患の有無】 | |||||
PCR検査の結果 | |||||
(+) | (-) | 合計 | |||
抗原検査の結果 | (+) | 92 | 2 | 94 | 陽性的中率97.8% |
(-) | 49 | 1319 | 1368 | 陰性的中率96.4% | |
合計 | 141 | 1321 | 1462 | ||
感度65.2% | 特異度99.8% |
有病割合は、141/1462=9.6%
感度Snは、92/141=65.2%
特異度Spは、1319/1321=99.8%
陽性的中率PPVは、92/94=97.8%
陰性的中率NPVは、1319/1368=96.4%
陽性尤度比326、陰性尤度比0.35、この状況で、
- 有病者が検査を受けると65.2%の割合で(+)判定、残り34.8%は感染しているが偽陰性となる。これでは陰性であっても感染を否定できず、感染対策の継続が必要となる。
- 無病の者が検査を受けると99.8%の割合で(-)となる。わずかであるが偽の陽性が検出される可能性がある。
- 感染不明な者が受検し、検査の結果が(+)となったとき、それが真の(+)である確率は97.8%である。
- 感染不明な者が受検し、検査の結果が(-)となったとき、それが真の(-)である確率は96.4%である。
この研究の被験者たちは、大きな病院に受診しようという人たちなので、何らかの症状・訴えがあり、そのぶん陽性が出やすく検査の精度は高くなっているはず。とはいえ、高くても感度は65.2%なんですねぇ。薬局での検査は「無症状のひと」に限られるため、実際のところは陽性出にくいんです。感度はもっと低いはず。
それでもやはり、感染者の見逃しが必ずあるという前提で、検査を実施する必要がある。
薬局では、
「感染者の中からウイルス量が多い人を探し出す検査ですよ」
「陰性であっても感染している可能性がありますよ」
「感染したかもと不安を感じたのなら、人にうつさないよう感染対策を続けましょう」
という説明を検査の前後に行いますが、やっぱり「あぁ陰性だ良かった」ってなっちゃうんですよね。これは仕方がないこと。
検査キットは、単純にシロクロつける便利グッズではないんですよねー。みんなが同じ検査をおこなって、同じ結果が出たとしても、その人のその時の状況により結果の受け取り方は変わってきます。わかったつもりでも、また気持ちが揺れることもあるだろうから、迷ったらぜひ相談してもらいたいです、一緒に考えましょう。