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イチョウ葉エキスのサプリを飲むと、物忘れしなくなる??

セルフメディケーション

イチョウ葉エキスの商品は、サプリメントがいろんな会社から販売されています。ちょっと物忘れが増えたような気がして不安を持っている人は、気になってしまうでしょう。それって、ほんとうに効く?どのくらい効く?効くってどういうこと?というようなお話です。いくつかの研究をピックアップ。


Cognitive performance, SPECT, and blood viscosity in elderly non-demented people using Ginkgo biloba - PubMed
The aging process is associated with several cognitive alterations. This study looks at the effects of taking dried extr...

レジ横に山積みのガムや、〇〇食品のイチョウ葉サプリなどに引用されている研究。どうしてすべての商品がこの論文を引き合いに出すのか不思議だったのですが、「健康な人で行われた」「良さそうな結果の研究」がこれぐらいしかないのかも。有料論文だけどいつか全部読んでみたいような、そうでもないような。この研究のアウトカムがあまりぴんとこなくて興味がわかない…。脳の血流をSPECTでみて改善されてるかどうかよりも、大事なことがあると思うんですよね。

二重盲検おそらくランダム化プラセボ対照。アウトカムがはっきりしない。摂取量も知りたい…。(「健康食品の安全性・有効性情報」のサイトでは、この論文の要約で、軽度の記憶障害がある患者、イチョウ葉エキス80mg/day、二重盲検無作為化であったと書かれている)
P:認知症ではない健康な60〜70歳の48人の男性
E:イチョウ葉エキス群(8か月)
C:プラセボ群(8か月)
O:SPECTの結果、血液の粘度、認知機能テスト?
血液粘度の低下、特定の領域での脳灌流の改善、および全体的な認知機能の改善が見られたとのこと。


Ginkgo biloba extract EGb 761® alleviates neurosensory symptoms in patients with dementia: a meta-analysis of treatment effects on tinnitus and dizziness in randomized, placebo-controlled trials - PubMed
Our findings support the notion that EGb 761® is also effective in alleviating concomitant neurosensory symptoms in pati...

認知症の患者には耳鳴りとめまいがよくみられる、これらの症状を、イチョウ葉エキスの服用で軽減することができるか?過去の研究をしらべたシステマティックレビュー。

P:認知症で耳鳴りやめまいがある患者
E:イチョウ葉エキスEGb761(240mg/day)
C:プラセボ
O:耳鳴りとめまいが改善したか
5つの試験、1972名、女性の割合が多めで、年齢は70歳前後(50~98歳)。
アルツハイマー型904名、血管性374名、混合型664名。
このうち耳鳴りのある人は733名、めまいのある人は1040名で、EGb761服用群は改善傾向にあった。-1.06 (95% CI: -1.77, -0.36)と-0.77 (95% CI: -1.44, -0.09)


【1日摂取量が海外と日本ではまったく異なる】
ひとつめに挙げた研究ですら1日量80mg、2つ目の研究では1日量240mgなので、日本で売られてるサプリを服用したのではまったくこの量には足りない感じです。ちなみにレジ横で売ってるガムは1日量が一包装(9枚もしくは12粒!)ですが、これでも全く足りないです。1日にこんなにガム食べる…!?
イチョウ葉エキスが良いと聞いたから、サプリ摂取してみたけれど、ガム噛んでみたけれど、効かないけど害もない、という結果になりそう。今後、少量でも効くかどうかの研究なんて出てこないと思われます(メリットがない)。メーカーは、摂取しても害のない無難な量をゆくと思われます。

【品質が一定ではない可能性】
天然物から抽出してできるものなので、もともと含まれる成分にバラツキがある。有効と考えられる成分がきちんと含まれ、有害成分が少なく精製されているかは、サプリメントの場合、医薬品のように管理が行き届いていない可能性がある。…ただし、そもそも含有量が少ないので、バラついても影響はあんまりないのかもしれませんが。

【評価の方法はそれでいいのか】
SPECTやら血流やらよりも、(本人が)物忘れを気にならなくなるかが重要だと思うし、それによって「(物忘れが減って)日常での困りごとが減る」とか「(物忘れした時の)気分の落ち込みやムラが減る」とか「(言葉に詰まらなくなり)会話を楽しめる」とかが求めるところではないかと思う。客観的には画像や認知症テストが評価しやすいかもしれないけど、スコアが変化したことが本人にどの程度意味があるのかが大事なはずで、それは研究からはわからないんですよね。「効く」ってどういうことなのか、ひとにより違うはず。
2つ目の研究は、めまいや耳鳴りの症状をみています。対象は認知症の方。認知症になったら、物忘れを減らすことよりも、つらい症状を改善することのほうが満足感ありそうだ。

【サプリに気を取られがちですが、すでに頑張っているのかも】
イチョウ葉エキスのサプリを飲んだほうがいいか?と悩むよりもまず、ふりかえってみてほしいこと。すでに、血圧の薬や、脂質異常症の薬、血栓を予防する薬、糖尿病の薬など、服薬して治療中ではありませんか?血管をしなやかに保ち、粘りを減らし、血栓を作りにくするお薬、すでに飲んでいるのであれば、それはりっぱな予防薬だと思います。まずはそれを大事にしてほしいと思います。それらを大事にしたうえで、サプリが必要かどうかの判断を。

【まとめ】
サプリで効果が実感できるほど効くケースは少ないのではないかと思います。ですが、飲むことで安心感を得てそれがよい影響を与えるなら、それもお薬の効果のうちと考えて良いかも。気になるから飲んでみる、飲んでみて「自分には効果がみられない」と思ったらやめる(←これ大事)。
ただし、相互作用がとても多い薬で、出血リスクやてんかん発作に影響を与えることがある成分なので、他の薬剤を服薬中の方は必ず、はじめるまえに医師薬剤師にご相談ください。

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