ブルーライトカット仕様のメガネは、PCの使用に関連する眼精疲労を軽減するのに効果的ですか?ランダム化比較試験。
P;合計120人の症状がみられるコンピューターユーザー
「ポジティブ」または「ネガティブ」群に割り当てられた(医療者がこの介入をadvocateするか否か)。
E;ブルーライトカット
C;クリアレンズ
すべての参加者は、積極的な介入を受けたと信じるように導かれた。
参加者は、割り当てられた眼鏡を身に着けている間、2時間のコンピュータータスクを行った。
O;主要なアウトカムは、眼精疲労症状スコアとCFF(眼精疲労の客観的指標)の平均変化(2時間使用後の差)
すべての参加者が研究を完了しました。
CFFについては、advocateの有無(ポジティブまたはネガティブ、p = .164)およびレンズの違い(ブルーライトカット仕様またはクリアレンズ、p = .304)で有意な差が見られませんでした。
眼精疲労症状スコアについては、advocateの有無(p = .410)またはレンズの違い(p = .394)で有意な差はみられませんでした。
有害事象は記録なし。
ブルーライトカット仕様のレンズは、標準のクリアレンズと比較して、コンピューターの使用による眼精疲労の兆候や症状を変化させなかった。医療者のadvocateの有無は、臨床転帰とは関係がなかった。
ブルーライトカット仕様のレンズはパソコン仕事の眼精疲労を和らげないかも。という研究でした。先日、日本眼科学会が「小児のブルーライトカット眼鏡装用に対する慎重意見」という意見書を出していて、その中で挙げられていた研究です。証拠がないにもかかわらず青色光に対する予防措置を講じることは、青色光自体よりも有害である可能性があるから、子供たちに付けさせるのはやめようやという話。
エッそうなの!?って感じ…こういう、当たり前だと思ってたことを手に取ってよく眺めてみて、疑問に思ったら調べることの大切さよ…。
ブルーライトカットにすることよりもおそらく、はるかに、目が疲れた場合には、休憩すること。これが必要なのでしょう。そして夜間のブルーライトを減らしたいなら、スマホはやめる。え、無理ですか…ナイトモードにするといいです。米国眼科アカデミーも推奨している。
厚労省では情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインで、光源や姿勢・モニターとの距離など、疲労を減らす工夫をするよう指導されている。
1年ほど前、古い眼鏡のレンズの傷がちらつくのが気になって、レンズを替えてもらいに行きました。私はおよそ30年のメガネ生活ですが、メガネを買うたびにレンズはどんどん新しくなり、かつてのビン底メガネは薄くなり、軽くなり、傷がつきにくいコーティングだのUVカットだのブルーライトカットだの、本当にそれが必要なのかはよくわからないままオプションもりもりでなんとなく選んでいたように思います。オーダーメイドと言えば聞こえはいいが、じつのところ、免許の更新がクリアできて、薄くて軽ければ不自由はしないのだ。いろんなオプション、ほんとはなくてもいいものかもしれない。
advocateという単語がいつも自分の中で消化できない。この文脈では、医療者が「このレンズいいヨ!!」ってオススメする群(ポジティブ)と、オススメしない群(ネガティブ)ということか。そうすると2回のランダム化で120名を1群30名ずつ割り付けになるけど足りるのでしょうか。各人に与えられたメガネは視力に合っているのでしょうか。被験者のもともとの視力はどうなのか?ベースライン見たい(読めばいいのですが有料論文)。あと、眼精疲労の評価ツールってコレというものがないのかな…と感じた。共通のものがないと、その評価を共有できない。
【2021/5/25追記】本文を読む機会に恵まれた!!
ベースラインは性差、コンタクトレンズ使用率に群間差があるようだ。
120名の被験者は、advocateするしないで分けたあと、ブルーライトカット仕様レンズorクリアレンズで分けて、各群30名ずつになった。そしてベースラインは、性差、コンタクトレンズ使用率でバラツキがあった。主要なアウトカムに有意差なし。レンズの効果だけみてくれたらよかったのに…!
被験者たちは1日のパソコン時間が6時間で週7日というヘビーユーザーで、「2時間パソコンをさわる試験」というのがどれほどの影響を与えるのかちょっとわからなかった。これ、健康な(?)人で試験が行われたらどうだっただろうか?
被験者は日常的に裸眼かコンタクトで、日ごろからメガネを使用しない人たちだった。試験でメガネをかけるのですでにメガネを使用してる者は除外されたのだろうけど、ふだんメガネしない人がメガネをかけると、いつもより疲れるんではないかなぁ。