上気道感染症の咳を緩和するためにはちみつは有効かどうか、全年齢を対象に調査したシステマティックレビューとメタ分析
あつめられた研究;RCTと観察研究(in vivoで2グループを比較するもの)。無治療、プラセボ、または通常の治療法と比較して蜂蜜を評価したもの。除外;in vitro、動物実験、症例報告
対象患者;臨床的および検査室で診断された、風邪やインフルエンザ、アレルギー性鼻炎。地域や年齢を問わず。
介入;はちみつを使用していること
対照;無治療、プラセボ、通常のケア
主な結果として、上気道症状が改善したかどうかをみていること。
結果
14の研究
はちみつvsプラセボ;異質性が高く個別な検討をされた。
はちみつvs通常のケア;biasリスクの高い3つの研究。はちみつ群は通常のケアより有意に改善。
はちみつvsデキストロメトルファン;差なし
はちみつvsジフェンヒドラミン;はちみつ群はジフェンヒドラミンより有意に改善。
はちみつvs通常のケア;はちみつ群は通常のケアより有意に、複合症状スコア、咳の頻度、咳の重症度を改善。
1歳未満の赤ちゃんには、はちみつは危険な食べ物なので、与えないでください。
コクランのはちみつレビューはこどもたち(12か月~18歳)が対象だったが、このレビューは全年齢が対象。けれど質の良い研究は少なかった。はちみつは咳の頻度と重症度を、通常ケアよりも改善する。プラセボ対照の良質な試験は少ないため今後の課題。
研究のけっこう難しいところ
研究によって使用したはちみつの量や種類が不明だったり、効果の評価尺度にばらつきがあったり、「はちみつ」の定義すらあいまいである。この研究では、はちみつ+αもすべて、はちみつ扱いをしている(私はホットミルクにはちみつが好き)。
そもそも、はちみつの「プラセボ」って何が正しいのかな…はちみつの有効成分が何かすら定まっていないのに。
はちみつは入手しやすい物だから、プラセボ群にはちみつを摂取しないよう徹底するのは難しい。
咳が治ってゆく過程は自然治癒力によるものが大きいだろうから、それに上乗せされる「薬効」は相対的に小さくて評価がしにくい。効果のあるなしを、改善したかしないかで評価すると差が出ない。咳の頻度や重症度で評価すると差が出る。
「通常ケア」と比較された場合も、ケアは多様であり評価しづらい。
現在、上気道感染症に有効で害の少ない選択肢は少ないため、はちみつを使用し、抗生物質の使用を減らしたい!という、研究者の熱い思いがあるようですが、抗生物質のかわりにはちみつを!っていうのは話が飛躍してるような気もしますね…抗生物質+もりもりの風邪薬はそのままで、安易に、はちみつもプラスしよう!になったらどうなるんでしょうかね…ありそうだぞ。