帯状疱疹ワクチンの効果と有害事象を調べた研究、RCTを調べたシステマティックレビュー。
帯状疱疹(たいじょうほうしん)とは?
水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus;VZV)は、初感染で水痘(いわゆる「みずぼうそう」)を引き起こす。空気・飛沫・接触感染で人から人にうつり、感染力はきわめて強い。みずぼうそうは、子供では予後良好なことが多く、成人になってからでは重症化しやすい。
このVZVは感染後、おもに脊髄後根神経節(三叉神経節を含む知覚神経)に潜伏し、加齢や免疫能低下により再び活性化する。そして皮膚上皮細胞にやってきて、帯状疱疹を発症させる。帯状疱疹患者の水疱や唾液にはVZVが含まれるため感染性があり、初感染の人にみずぼうそうを引き起こす。
帯状疱疹は、帯状疱疹後神経痛(postherpetic neuralgia;PHN)という合併症を起こしやすい。皮疹が消えた後も3か月以上、疼痛が持続することがある。
P)60歳以上で水痘症の既往あり帯状疱疹の既往なしの健康な白人
除外)免疫抑制のあるひと
E)live zoster vaccine (LZV)生ワクチン、あるいは、recombinant zoster vaccine (RZV)不活化ワクチン
C)プラセボor他のワクチンor接種なし
O)プライマリ;帯状疱疹の発生
セカンダリ;有害事象、ドロップアウト
38,546人の参加者を対象とした最大規模の研究では、最長3年間の追跡調査における帯状疱疹の発生率は、LZV(1回皮下投与)を受けた参加者の方が、プラセボを受けた参加者よりも低かった。リスク比(RR)0.49、95%信頼区間(CI)0.43~0.56、リスク差(RD)2%、治療必要数(NNTB)50、中程度の質のエビデンス。
重篤な有害事象(RR 1.08、95%CI 0.95~1.21)および
死亡(RR 1.01、95%CI 0.92~1.11、中等度の質のエビデンス)については、
LZV群とプラセボ群の間に差はなかった。
LZV群では、
1つ以上の有害事象(RR 1.71、95%CI 1.38~2.11、RD23%、NNTH4.3)および
軽度から中等度の強度の注射部位の有害事象(RR 3.73、95%CI 1.93~7.21、RD 28%、NNTH 3.6)の
発生率が高かった(中等度のエビデンス)。
これらは60歳以上の参加者6980人を対象とした4つの研究から得られた。
2つの研究(安全性評価対象者29,311名、有効性評価対象者22,022名)では、3年間の追跡調査における帯状疱疹の発生率は、RZV(2ヶ月間隔で筋肉内に2回接種)を接種した参加者では、プラセボを受けた参加者よりも低かった。
RZV群とコントロール群、3.2年追跡、RR0.08(95%CI;0.03-0.23)、RD 3%、治療必要数NNTBは33人、中等度の質のエビデンス。
重篤な有害事象と死亡については、RZV群とコントロール群で差はなかった。
RZV群では、
あらゆる全身症状(RR 2.23、95%CI 2.12~2.34、RD 33%、NNTH 3.0)、
あらゆる局所症状(RR 6.89、95%CI 6.37~7.45、RD 67%、NNTH 1.5)
の発生率が高かった。
ほとんどの参加者が、症状は軽度から中等度の強度であると報告したが、
脱落(初回投与から2か月後に2回目の投与を受けに来ない参加者)のリスクは、RZV群がプラセボ群よりも高かった(RR 1.25、95%CI 1.13~1.39、RD 1%、NNTH 100、中等度の質のエビデンス)。
帯状疱疹という病気を知らずに過ごして一生を終えるひとも多いのではないかと思います。でも自分は医療職なので、そこそこ帯状疱疹後神経痛に悩まされる方々を見て知っているわけなのです。かなりQOLを損なうので、かかりたくないんですよね。宮崎スタディによると帯状疱疹の発症率は6.07人/千人年である(2017年)。20年前にくらべて50%以上増加しており、こどものみずぼうそうが減りウイルスに接する機会(ブースター効果)が減ったこと、高齢化が進んだことが原因といわれます。つまり今後もっと増えるはず。
何年有効なのかすごく知りたいところ。とくにRZVのほうは新しいのでどのくらい効くんだろう。3年に1回うつのはきついかな…。私が50歳になるころには定期接種になってくれるとうーれしーいなー。