発熱は、ワクチン接種後の正常な炎症過程の一部ですが、高熱や熱性けいれんの心配を減らすために予防的に解熱薬が推奨されることがある。ワクチン接種時のパラセタモール(アセトアミノフェン)の予防的投与が、乳児の発熱の起こりやすさとワクチンの反応に及ぼす影響を評価した研究。RCT、オープンラベル。
P)妊娠36週以降で生まれた、9-16週の乳児
除外;体重4.5kg以下、治験・その他ワクチン・免疫修飾薬を使っている、免疫系・腸管に影響する病気、アレルギー・発作あり、ワクチンの対象となる病気あり、パラセタモール禁忌薬とする子、パラセタモールを必要とする子
E)パラセタモール予防投与あり;
※ワクチン接種後すぐに1回、帰宅後は6~8時間ごとに2、3回目を挿入(坐薬)
※4.5-7kgで80mg/回、7kg以上で125mg/回
C)パラセタモール予防投与なし;※プラセボなし
※ワクチンの種類;10 valent pneumococcal conjugate vaccine(10価の肺炎球菌ワクチン): Infanrix Hexa(6種混合ワクチン): Rotarix(ロタウイルスワクチン)
O)プライマリ;38℃以上の発熱(直腸温、1日2回検温)
セカンダリ;ワクチン接種前後の安全性、反応原性および免疫原性
少なくとも1回の接種後に38℃以上の体温を示した小児の割合は,
予防的パラセタモール投与群(1次接種後94/226[42%],2次接種後64/178[36%])が,
予防的パラセタモール非投与群(1次接種後154/233[66%],2次接種後100/172[58%])に比べて
有意に低かった。
39.5°Cを超える発熱の発生はまれであり、発熱後の受診増加には影響しなかった。
予防的パラセタモールは、発熱への影響とは関係なく、いくつかのワクチン抗体反応を有意に減少させた。
この研究では「パラセタモール予防投与すると発熱が減らせそうだ」ということが分かったんだと思うんですが、この研究のまとめでパラセタモール予防投与は「利益とリスクを検討せずに日常的に推奨されるべきではない」と言われているのがなんかモヤモヤしました。熱性けいれんを減らせるかどうかを真ん中に据えたら良かったんですかね、そっちが知りたかったですね(この研究では熱性けいれんはゼロだったようなので、この集団でこの規模では実現しないですが)。
なんかいろいろ半端だし、ランダム化されてないような気もする。2回目ワクチンの試験はランダム化されてないのでは?プラセボも使われてないですが、なんでプラセボしなかったのでしょう、プラセボ必要では?
発熱による受診率が低かったらしいので、発熱は保護者にとって比較的重要ではなかったのかもしれないとの考察もされていたけど、これは事前に発熱の可能性について知っているかどうかも影響すると思う。接種後に発熱の可能性があることを知っていたら、1日くらいの発熱なら様子をみる、という心構えができる。研究に参加するひとは何の試験か知ってるはずだから、「熱が出ることがあるんだなー」という知識が得られた集団だったはず。
これは今おこなわれている新型コロナワクチンでも言えそうで、熱がでるかもしれないことを知らなかったらすごいびっくりしてしまうんじゃないかな。
反応原性および免疫原性に有意差があることが、ワクチンが効いてないという意味なのかは、この研究からはわからないので、けっきょくわからないですし。
まぁでも念のため、解熱剤は控えておきますかねー。
でも熱がつらかったら飲んでもいいですかね。
けっきょくどっちなん…ってなりますよね。
すっきりしませんでした。