パラレル、二重盲検、センターでブロック法ランダム化、プラセボ対照、サンプルサイズ計算あり、ITT解析、オーストラリアにて。
P)18歳以上、進行がんで、手術できない腸閉塞とそれにともなう嘔吐のある患者で、手術またはがん化学療法がすぐにおこなわれなかった人、112名がランダム化された。6名がプロトコル違反で脱落。
E)標準治療+オクトレオチド(600μg/24hr)52名
C)標準治療54名
オクトレオチド群は標準治療にオクトレオチド600μg/24hを持続皮下注で、
プラセボ群は標準治療のみ(ラニチジン200mg/24h、デキサメタゾン8mg/24h、および非経口水分補給10–20mL/kg/24h)を受けた。
痛みには、ブスコパン、非経口のオピオイド、吐き気にハロペリドールを使用。
O)1次アウトカム;開始から72時間のうち患者申告による嘔吐がなかった日数
2次アウトカム;1日の嘔吐回数、生存率、疼痛スコア、機能スケール、使用した対症療法
治療を終了できたのは、オクトレオチド45名プラセボ42名の計87名
脱落は、投与開始前の7名(うちオクトレオチド3名)、開始後の12名(うちオクトレオチド4名)(合計19名);嘔吐が悪化、経鼻チューブまたは胃瘻増設した、外科的処置をおこなった等。
嘔吐をともなう手術不能な腸閉塞があり抗がん治療をすぐに行えない患者では、標準化された治療にオクトレオチドを追加しても効果がみられなかった。その他の項目(毎日の嘔吐の有無、嘔吐のエピソード数)も差がなかった。
群間で、72時間嘔吐のなかった人数に差なし、嘔吐のない日数にも差なし。
オクトレオチド17名プラセボ14名で3日間嘔吐なし。
悪心の有無やひどさも群間で差なし。
プラセボ群もかなり改善しているところをみると、腸閉塞は標準治療で解消するケースも少なくないということか。治療ができないなかで嘔吐なく過ごせることはとても大切なので、できる限りの対応はしたいところ。そこに、高額なオクトレオチドを加える価値があるかどうか…というところだけど。どういう人なら費用にみあう効果があるのかな…
それよりもまずステロイドとラニチジンの効果をきちんと知っておきたいと思いました。