日本では適応なしですが気になるものを見つけたので読んでみた！
成人の慢性または一時的な片頭痛を、予防または頻度減少するために、ボツリヌス毒素を投与するのはプラセボを投与するのと比べて効果あるか？を調べたシステマティックレビュー、Cochran。
P：18歳以上で、慢性片頭痛あるいは慢性ではない一時的な片頭痛に苦しむひと
E：ボツリヌス毒素を注射する
C：プラセボ注射、もしくは積極的な予防薬の服用
O：1か月あたりの片頭痛の日数
※群あたりの参加者が50名以下の少数で行われた研究が多い
※緊張型頭痛は除外されているが薬物乱用頭痛の患者が除外しきれない
※ボツリヌス毒素の投与単位がばらついてる
※片頭痛時のレスキュー薬などの併用薬について詳細わからない研究がある
ボツリヌス毒素の注射はプラセボ注射にくらべて、慢性片頭痛患者の片頭痛を1か月に3日ほど減らした（-3.1(95％CI -4.7〜-1.4、I 2 = 76％)）
もしくは、（バイアスの影響を受けてそうな2研究をはずすと、）1か月に2日ほど片頭痛を減らした（‐2.0 (95% CI ‐2.8 to ‐1.1, I2 = 37%)）
※慢性片頭痛では減らせたが、一時的な片頭痛では差がなかった
小規模研究が多くて不十分で、あつめてもあまりうまくいってないのが残念です、慢性片頭痛患者であればいちおう効くという結果だけども、わからない。二重盲検だけどその手順が明記されてないとか、入手できないデータがあるとか、あんまりちゃんと研究されてない印象。
片頭痛にボツリヌス毒素が効くのか、という話だから、片頭痛の患者で試験を行わなければならないところだけれども、慢性片頭痛の患者と薬剤性頭痛の患者を分けることが困難で、薬剤性頭痛の患者を含めた研究が含まれている。
慢性片頭痛だけに効果がみられて、一時的な片頭痛では効果がみられないのはなぜなのか、とかも気になる。慢性片頭痛って緊張型頭痛も併発していそうだから、むしろそっちに効いたりしないだろうか。ボツリヌス毒素の効果的に。
サンプルサイズが小さくてバイアスの影響を受けてそうな研究結果が、解析に影響しているけれど（その研究をはずしてもいちおう有効という結果ではある）、まぁそれでも片頭痛が2～3日/月、減らせるかもしれない（つい、ひいき目に見てしまう）。でも、月に2～3回頭痛を減らす(かもしれない)ために、通院と注射(痛い)という負荷を考えると、個人的にはちょっと考えてしまうかも。
たくさんの人が悩む頭痛なのに、あんまりしっかり研究されていないんだな…というのが少々残念なきもち。女性が多い疾患だから？みんな我慢しすぎてあんまり声を上げてないんじゃない？
頭痛を改善するということは、ものすごく生産性を高めることだと思うんですよ。頭痛もちの人は「頭痛い状態でもふつうに仕事してる」ことがすごくアタリマエになってしまっていて、もったいないんですよね。あなたの隣で働いている人は、じつは頭痛もちで、いつも実力の50％しか出せていないんだよ、っていう。たまにスッキリしてる日があるんですが「あぁ～今日何しようかな～いまならなんでもできる!!」みたいに浮かれて、こういう日は空回りしてたいてい何も終わらずあっという間に一日が終わります。あと、休みの日につらくて仕事の日はそこそこ働けるパターンも、しんどいですよねぇ。
（まとまらないけど終了）
メモ【慢性片頭痛】国際頭痛学会2013年の基準を参考
月に15回以上の頻度で3か月以上発生する頭痛があり
月に8回以上は片頭痛である
この片頭痛は、前兆のない片頭痛、前兆の伴う片頭痛、片頭痛が起きると本人が確信してトリプタンを使い軽快する頭痛、を含む。
片頭痛とは；片側性、拍動性、痛みは中等度または重度、歩行などで頭痛が増悪したり頭痛の為に日常生活に制限を受ける。これらのうち2つ以上を満たす頭痛。
